九州あちこち歴史散歩★水郷柳川のひな祭り・さげもん              サイトマップ

水郷柳川のひな祭り・さげもん

   「さげもん」は、江戸時代中頃から城内の奥女中が着物の残り布で、子どものおもちゃや琴爪入れを作り、それらをさげて楽しむようになったのが始まりだそうです。
 私はどんこ舟を眺めながら散歩しているとき、堀端に「十時
(ととき)邸」があり、雛人形とさげもんが公開されていたので、まずここを見学しました。十時氏は柳川藩立花家の重臣で、この屋敷は今年初めて公開された築200年になる武家屋敷です。
 ゆっくり見学させていただいた後、掘割のあちこちを歩きまわり(この日は天気がよく、最高の散歩日和でした)、沖端
(おきのはた)にある「柳川市観光案内所」に寄りました。ここの2階に豪華な「おひな様」と「さげもん」が飾られていて、柳川まりや細工ものが織り成すさげもんの美しさを十分堪能することができました。

 子どもの幸せを願って、家族や親類の人たちが時間をかけ、手作りで飾り物を作って祝う風習が生き続けているのは、なんでもお金と既製品で済まそうとする(そうせざるを得ない?)このせちがらい世の中で、なんと貴重なことではないだろうか、と考えながら堀端を散策しました。

柳川ひな祭り 2月11日〜4月3日
案内地図は「さげもんめぐりマップ」(A3版。柳川市観光案内所でもらいました。)

「柳川さげもん美草」HP(さげもんの歴史や内容に詳しいホームページです。)




堀端にある十時邸  
 堀端の白秋道路をそぞろ歩くと「十時邸があり、雛人形とさげもんを公開していました。
 十時氏は柳川藩の重臣で、この建物は江戸時代に建てられたものです。





 玄関には手作りの雛人形が飾ってありました。細やかな心づかいがしのばれます。
 
  十時邸玄関の手作りの雛人形




十時邸のひな人形とさげもん

 

 「十時邸」のひな飾りとひな壇右側の「さげもん」

 「さげもん」は、直径50センチほどの竹輪(写真上部の紅白の輪)に赤や紅白の布を巻き、7本の紐でつるされています。
 それぞれの紐には、柳川まりと細工ものを交互に7個つるし(計49個)、さらに中央に特大の手まりを2個つるして、飾りは合計51個となっています。


昔からの伝統によった十時邸のさげもん

 

「十時邸」のさげもんは昔からの伝統的な飾り方で、細工もののそれぞれの配置も昔から決まっているそうです。

 飾り方の基本は、
  上段=飛ぶもの
  中段=山のもの、木になるもの、咲くもの
  下段=水中のもの
 となっているそうです。全高は170センチあまりです。


手作りの這い人形と柳川まり

 

写真では顔だけになってしまいましたが、這い人形(中央の2個)が素朴でかわいい人形でした。(「十時邸])


十時邸の江戸時代の武者人形

 

 江戸時代の武将の人形(「十時邸」)
 兜や武将の人形は、現在では5月の端午の節句に飾られるが、端午の節句はもともとは女性の節句で、奈良平安時代には女性が菖蒲を髪に飾り、薬玉を贈りあったようです。
 鎌倉時代に菖蒲が尚武に通じるため、男児の節句として祝われるようになりました。




柳川市観光案内所に飾られたおひな様とさげもん

 

 こちらは、沖端の北原白秋生家近くにある「柳川市観光案内所」のひな飾りです。
 案内所の2階に展示してあり、誰でも見ることができます。
(市内に約30か所ほどさげもん処が公開されています。柳川市の「さげもんめぐりマップ」に全部の箇所が載っています。)


ひな壇横に吊るされたさげもん

   ひな飾りのほかにも、大きな人形や柳川まりが飾ってあってきれいでした。
 ひな人形も実に立派なものですが、さげもんのきらびやかさに目を奪われてしまいます。


さげもんの柳川まりと細工もの

  さげもんの細工ものには、
蝉、ねずみ、蝶、うさぎ、猿、鳩、ひよこ、鶏、鶴、亀、唐辛子、梅花、桜、桃の実、みかん、ききょう、おくるみ人形、這い人形、袖振り人形、三番叟、おかめ、ひょうたん、はまぐり、金魚、えび、いちご

などがあるようです。
細工ものと柳川まりが交互に吊るしてあります。


豪華な雛人形

   さげもんはひな壇の左右に対で飾られますが、ここは豪華に数対が飾られています。

似たようなつるし飾りの風習が昔から残っている地方が国内に三か所あるそうです。

「日本三大つるし飾り」
静岡県東伊豆町稲取地区・・・ 「雛のつるし飾り」
山形県酒田市(庄内地方)・・ 「傘福(笠福)」
福岡県柳川市・・・・・・・・ 「さげもん」


目を奪われるきらびやかなさげもん

   ひな人形やさげもんを見ている間にも、ひっきりなしに観光客が訪れました。若い夫婦の二人連れ、子供連れのファミリー、若いカップル、数人のグループの客。やはり中年の夫婦連れも多かったが、みんな飾りの美しさに満足されていました。
 さげもんめぐりの家や店に飾ってあるのは、伝統的で豪華なものが多いようですが、一般的にはさげもんはもっと素朴なものが多かったのでしょう。
 柳川の各家庭では娘の初節句を祝って、家族や親類で手作りのさげもんを作って飾る風習が絶えることなく続いてきました。手作りの素朴な飾りであっても、親が子供の幸せを思う気持ちに変わりはなく、わずらわしさをいとわず手作りのもので祝ってやろうという優しい気持ちを町の人たちが持ち続けたからこそ、柳川の「さげもん」は江戸時代から現代まで、絶えることなく生き続けてきたのではないでしょうか。



   
  ( 参考文献)
「柳川雛祭り さげもんめぐりマップ」柳川市観光課
「柳川さげもん美草」ホームページ
   

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