7月24日(土)の午後、戸畑祇園大山笠の競演会を見に行きました。祭りは毎年、第4土曜日を挟む3日間開催され、競演会は中日の午後6時半〜9時に行われます。 祭りは享和3年(1803)に始まり、約200年の歴史を有しており、国指定重要無形民俗文化財に指定されています。 午後3時ごろ戸畑駅前の祭りの案内所で、すぐ隣の「ウェルとばた」内に戸畑祇園大山笠のコーナーがあると聞き、寄ってみました。実物の山笠が置いてあり、それらの説明や祭りの映像も見ることもできました。(都合で祭りを見物できない人はここに寄ると祭りの一端に触れることができます。) その後、大山笠競演会が行われる会場に(戸畑区役所前、麻生1号公園一帯)向かいました。 3時半ごろ会場近くの飛幡八幡宮に寄ったら、すでに多くの人が集まり、祭りの会場には、すでに大山笠や小若山笠が到着していました。 夕方6時半から祭りが始まり、幟(のぼり)大山笠から提灯大山笠に変身しました。日が暮れまわりが暗くなるとともに光のピラミッドとなり、あちこちで揺れ動き、豪壮で幻想的な祭りを楽しむことができました。 詳細については 戸畑祇園大山笠振興会の公式ホームページ に掲載されています。 |
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戸畑駅の隣「ウェルとばた」2階には戸畑祇園大山笠の展示コーナーがあり、山笠の実物が展示してあります。 戸畑の山笠は昼と夜とその装いを変えます。これは昼の幟大山笠で、正面の四つの前花(菊花)が象徴的です。 |
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また、山笠には12本の紅白の幟(のぼり)が立てられています。 |
深山から採って来たかずらでしばってあります。釘は一切使わないで組み立てます。 中には太鼓と銅拍子(チャンブク、合わせ鉦)が据えつけられていて、囃子方がここで叩きます。笛、鉦は上階に乗ります。山車が外に出る時は、まわりに豪華に刺繍された幕が張られますので中を見ることはできません。(提灯大山笠に変身するときは幕は取り外されます。) |
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ちょうど6人のファミリーが来ていました。 この3人は男性軍の若者です。お父さんもおられましたが、かきこ(担ぎ手)は子ども達にまかせて、応援に回られているようです。 祭りの服装は、向う鉢巻、法被に腹巻、帯、半股下、鳶足袋が標準的なようです。(祭りの会場ではこれに鉢巻と長袖の法被を着用します。) |
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6人ファミリーの娘さんたちです。 女性は山笠を担ぐことはできませんが、こうして祭りに使う提灯や用具を持てるだけ持って会場へ運び、祭りを手伝っていました。 |
飛幡(とびはた)八幡宮の鳥居 境内にはすでに多くの見物客が姿を見せていました。 |
飛幡八幡宮境内の山笠の祭りを讃えた碑文。達筆ですね。 「若者の意気、天を衝かんとす」 |
山笠はそれぞれの地区の氏神様に奉納されます。 飛幡八幡宮(東大山笠) 恵比須神社(西大山笠) 中原八幡宮(中原大山笠) 菅原神社(天籟寺大山笠) (恵比須神社には平家の落人伝説があるそうです。) この神社は飛幡神社です。祭りの会場のすぐそばにあるので寄りました。 祭りの開始にはまだ3時間ほどありますが、境内にはすでに多くの見物客が集まっていて、出店などで楽しんでいました。 |
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団員が見物に来た家族の子どもを山笠に乗せて記念写真を撮らせていました。家族は大喜びです。 |
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団員が家族のカメラで家族全員の写真を撮ってあげていました。いい記念写真になりますね。 団員のこのようなやさしさが祭りのファンを増やしていく一助になるのですね。 |
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「前花」紙で作った菊の花。 全部で約800枚の花弁でできています。もちろん手作りです。 |
「てまりこ」 このような細かいところも昔からのやり方で作られています。 |
「見送り」鳳凰 山笠の後部に取付ける幕の一種で、幡山笠のシンボル的な装飾です。直径約1.5メートル。 鷲(東大山笠) 鳳凰(西大山笠) 虎(中原大山笠) 唐獅子(天籟寺大山笠) 山笠は各地区(東、西、中、天)から大山笠(高校生、大人)と小若山笠(中学生)が参加し、計8基の山笠が競演会に集結します。 |
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日中の炎天下ですが、若い衆は提灯大山笠に使う提灯の準備に余念がありません。 |
「見送り」鷲 (東大山笠) 豪華な刺繍です。 |
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幟(のぼり)大山笠の正面。12本の大幟が立っています。 上下に2個の菊花の飾りが二対立てられています。 上段の菊花は直径67センチ、一周65個の花弁が11段あります。 下段は直径73センチ、一周67個の花弁が12段あります。 |
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小さな子どもも一人前の格好をしています。 お兄ちゃんやお父さんは山笠に参加しているのでしょうか。あるいは元気な子に育つようにおばあちゃんといっしょに 参拝と見物に駆けつけたのでしょうか。 |
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幟山笠の後部です。上から鷲の図柄の「見送り」、馬に乗った侍が狩りをしている図柄の「水引幕」(一枚物の幕)、下段が宝船の図柄の「切幕」(四枚一組)で飾られています。 これらの飾りは提灯大山笠のときは全て取り払われます。 |
提灯大山笠に使用する提灯が整然と並べられています。 |
すべての提灯のチェックを真剣に行っています。 若者はこういう役をこなしながら経験を重ね、一人前になっていきます。 |
開始の時間も近づき、幟大山笠が道路の中央に移されました。 |
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幟山笠の横からの眺め。 左右に6本ずつの紅白の幟が、長さ5mの棒にとりつけられ紅白が交互に立てられています。 |
午後6時半、やっと祭りの開始です。 最初は幟大山笠が囃子とともに行進を始めました。 (やっと祭りが始まって、会場に「お囃子」と「ヨイトサ」の掛け声が響きはじめました。さあ、祭りを楽しもう、と思ったその途端、お囃子を掻き消して「ここで来賓の皆様のご紹介をさせていただきます。・・・」とスピーカーからの声。開始早々いくらなんでもそれはないだろう、と幻滅した。観客はみんな2時間も3時間も前から開始を楽しみに待っているのに・・。開始の前に市長の挨拶があったのだからその時いっしょに済ませておけばいいだろう、とブツブツ。) |
かきこ(担ぎ手)は1本の棒に15人〜20人がつくそうです。(合計60〜80人) 囃子には数種類あり、大山笠が移動するときは「おおたろう囃子」が演奏され、かきこは囃子に合わせ「よいとさ、よいとさ」の掛け声で進みます。 幟大山笠の形で会場を一周し、8基がそれぞれの最初の位置に戻ります。 |
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幟大山笠の飾りや幕をすべて取り払い、山車の基台の上に4人の若者が乗りました。 |
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横から最上部の5段の提灯が棒で吊り上げられ、4人の若者に渡されます。 両方の意気が合わないと提灯が落ちたりしてうまくいかないそうです。 |
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4人の若者はそれを基台の上部に取り付けます。 |
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最上部の取り付けが終わると、あとは各面一段ずつの提灯を取り付けていきます。 実にてきぱきとした作業です。 |
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提灯大山笠がだんだん姿を現してきました。 |
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提灯大山笠の完成です。時間はわずか2,3分でした。なんと手際のいいことか、ただびっくりです。 合計309個の提灯がすべて灯りました。高さ約12メートルの光のピラミッドです。 山笠の重量は実に2.5トンになるそうです。 |
8基とも光のピラミッドが完成し、いよいよ8基の競演が始まりました。 |
お囃子に合わせ「オイトサ、オイトサ」の掛け声で進みます。 |
ときどき左右にグラリと揺れるときがあります。担ぐ人も必死ですが、左右の紐を持った人もバランスを保つのに必死です。 |
まさに光のピラミッドですね。 |
夜も遅くなると暗闇の中に提灯の灯りが浮かびます。 |
幻想的なシーンを楽しむことができます。 |
3基の山笠が接近しています。 時々山笠がグラリと大きく傾き、観客の悲鳴が聞こえてきます。うまく元に戻ったら拍手喝采です。 昔はもっと競争が激しく、カーブなどで曲がれ切れずに転倒しては炎上していたそうです。 |
小若山笠は午後8時半ごろ、最初の位置に戻り休止しています。 残りの時間は大山笠だけの競演になります。 |
競演会も佳境に入りました。 |
午後9時前、小若山笠は提灯を外し始めました。大山笠はまだ元気一杯担がれています。 |
大山笠はまだ観客を楽しませてくれています。 |
それにしても309個の提灯は迫力があります。 |
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提灯を外す時も実に手際よく作業が進められます。 |
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午後9時、光のページェントもいよいよ終了です。 |
山笠のお囃子と「ヨイトサ、ヨイトサ」の掛け声が楽しい豪壮な祭りです。 昼の幟大山笠もきれいで勇壮な山車でした。 夜の提灯大山笠は暗くなるほど実に美しく、光のピラミッドの名のとおり、幻想的なシーンを現出してくれました。 |
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