昔は結婚すると花嫁を馬に乗せ、鵜戸神宮にお参りする「シャンシャン馬」道中の風習がありました。 鵜戸までの七浦七峠と呼ばれる険しい道を、花婿が花嫁を乗せた馬の手綱をとって「鵜戸さん」まで向かい、二人の幸せを祈願したそうで、江戸時代中頃から明治中頃まで行われていたそうです。 現在は「シャンシャン馬道中鵜戸詣り」の行事や民謡大会が毎年行われています。 鵜戸さん参りは春三月よ 参るその日が御縁日 参りゃとにかく帰りの節は つけておくれよ青島へ 鵜戸さん良いとこ一度はおいで 一目千里の灘がある 行こか参ろか七坂越えて 鵜戸の神社は結び神 鵜戸さん参りに結うたる髪も 馬にゆられてみだれ髪 音に名高い背平の峠 坂は七坂七曲り |
約300坪の広さの洞窟に朱塗りの本殿が建てられています。 |
建築様式は本殿、幣殿、拝殿が一体になった「八棟造り」です。 |
本殿の彫刻「牡丹」 |
本殿の彫刻「象」 |
本殿の彫刻「獅子」 |
本殿の彫刻「牡丹」 |
本殿の彫刻「麒麟」 この麒麟は口を開いています。 |
本殿の彫刻「麒麟」 この麒麟は口を閉じています。 |
「皇子神社 彦五瀬命(ひこいつせのみこと)」 イツセノミコトはウガヤフキアヘズとタマヨリヒメの長男。ワカミケヌ(後の神武天皇)は四男です。 (ウガヤフキアヘズは山幸彦(ホオリ(ホホデミ))とトヨタマヒメの長男) |
この洞窟の産屋でウガヤフキアヘズを生んだトヨタマヒメは、そのワニの姿を夫に覗き見されたことを恥じて海神国に帰っていきましたが、赤ん坊に乳を与えるために自分の乳房をこの洞窟に残していったと伝えられています。 滴り落ちる清水で作った「おちちあめ」を母乳がわりにしてウガヤフキアヘズは元気に育ち、それにあやかって安産や育児を願う人たちの参拝も多いそうです。 岩となった乳房(「お乳岩」)からは今もお乳水が滴り落ちています。 |
「産湯の井」 ウガヤフキアヘズの産湯に使われた井戸です。 |
洞窟のまわりは巨大な一枚岩と思われます。迫力のある風景です。 |
参拝した後、運試しをしました。 「運玉」を男は左手、女は右手で投げて、手前の注連縄が張られた枡の中に入れば願いが叶うそうです。 ピンポン玉大の運玉5個がワンセットで、私もこれまで来るたびに何回かトライしましたが、結構難しい! (宮司さんの話では5つとも入れた人を、これまでに2,3回見たそうです。いや、私は一つでもいいのですが…) この枡のある岩は「亀岩」で、海神(わだつみ)国からトヨタマヒメを乗せてやってきた大亀です。 トヨタマヒメは産屋で大鰐になってウガヤフキアヘズを生んだ姿を夫の山幸彦に覗き見られ、悲しみのあまりすぐに海に入って海神国に帰っていったため、それに気がつかなかった大亀は姫をずっと待ち続け、とうとう岩になってしまいました。 |
神社の前の奇岩群や打ち寄せる波など、日向灘の景色も楽しめました。 |
下から見ると、崖に造られた石段が急なことがわかります。 |
江戸時代初期(1648)に飫肥藩主伊東祐久公が寄進した十基の灯籠です。 |
左は「神武天皇御降誕伝説地」の石碑。 右は古狛犬。 |
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「鵜戸の古狛犬」 「この狛犬は文政8年(1828)に土砂崩れにより没していたものを引き上げ修復したものである。」と記されています。 |
「鵜戸の古狛犬」 狛犬にはいろんなタイプがありますが、これはどっしりとした獅子タイプですね。 引きあげられたのが200年近く前なので、作られたのはそれ以前ということになります。 |
鵜戸神社の境内には亜熱帯性の植物が茂っています。 |
「鵜戸稲荷神社」への参道 |
鵜戸神宮境内にある「鵜戸稲荷神社」 |
鵜戸神宮境内にある「恵比須神社」 |
「吾平山御陵・波切神社案内図」 稲荷神社の右横から山頂目がけてやや急な坂道を登れば、約20分で「吾平山御陵」に至ります。 また、100メートルほど進んだところを右に下っていけば、約15分で「波切神社」に至ります。 夕方5時近くになっていたので、残念ながら今回は行けませんでした。 |
「吾平(あひら)山上陵」 ここはウガヤフキアヘズの御陵墓とこの地では伝えられています。 山上のご陵墓は宮内庁の管理となっています。 |
「波切神社」の風景(鵜戸神社の案内板の写真) 「波切神社」は岩の並ぶ波打ち際の小さな洞窟の中にあります。 途中の道は滑りやすいので、お参りするのは天気がいい時がいい、との先達の注意があります。 |
「波切神社」の風景(鵜戸神社の案内板の写真) ここは現在の大洞窟に神社ができる前、太古(縄文・弥生時代?)の時代に神を祀っていた場所だったのでしょうか。 自然に浸り、人の来し方、行く末を思い、心を洗うには格好の地のようです。 次回にお参りできることを楽しみにしておきましょう。 |
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(参考資料)
「宮崎の神話伝承 その舞台55ガイド」鉱脈社 甲斐亮典
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