九州あちこち歴史散歩★太宰府天満宮大菊花展2011(1)          サイトマップ

太宰府天満宮大菊花展2011(1)

   毎年11月1日から23日までの期間、太宰府天満宮境内では「太宰府天満宮大菊花展」が開催されます。
 私は11月2日に太宰府天満宮に参拝し、菊花展を楽しみました。普段目にしたことのない形の豪華な花、花びらの美しい色合い、さらに美しく観賞するための三段仕立てなどの工夫など、改めて日本を代表する花「菊」のすばらしさに魅了されました。

 大輪(花の直径が18センチ以上)の花には「厚物」「厚走り」「管物」「一文字(御紋章菊)」「おおつかみ」などの種類があるそうです。



 大輪の「管物(くだもの)」の三段仕立てです。このような形の菊の花を見るのは初めてです。

(「管物」:花弁が管状になり、花火のように放射状に伸びる。外側の花弁は枝垂れて先が丸まっている(「玉巻き」という。優雅で特に女性に人気が高い。)

 「三段仕立て」(「三本仕立て」ともいう)は、一本の苗を摘芯して三本の側枝を伸ばし、それぞれの側枝に一輪ずつの花を咲かせる。前の二輪は同じ高さに、後ろの一輪は花の三分の二ほど高くする。
 三つの花を同時に、同じ大きさに揃えて、できるだけ大輪に咲かせて、茎・葉を含めた全体が調和を保つように育てる。
 と載っていましたが、自然のものを相手に大変な丹精、技術が必要なのですね。育て方など全く知らない私はただただそのすばらしさに見とれるばかりです。
 (菊に関する記事については主にWikipediaを参照しました。)



 三段仕立ての大輪の「管物」が縦に5段並んでいます。
 それぞれの一列が「三段仕立て、五鉢、五品種、三色」の構成になっているようです。



 今年で第58回になるそうです。



 管物は太管、細管、針管と分けられるそうです。
 手前は細官で、二鉢目は針官でしょうか。管の太さが違いますね。






 「三段仕立て、五鉢、五品種、三色」の構成になっているのがわかります。



 管が長いですねえ。右側奥の黄色の菊の管は短い。



 薄紫色の色合いです。



 なんと繊細で美しい花壇でしょうか。



 三段仕立て、五鉢の構成の管物が並んでいます。



「管物七本仕立て」
 大輪の「管物」で1本の苗より七輪の花の仕立てとなっています。





 7本仕立ての「一文字(御紋章菊)」で、平たい幅広の花弁が一重で並んでいます。

 7本仕立て:一本の苗から7本の側枝を伸ばし、一輪ずつ花をつける。






 白も黄色もすばらしい。



 皇室の紋章のモデルとなったといわれるのもうなずけますね。
 「一文字菊」は花弁が14〜16枚だそうですが、この花は16枚で、理想とされる枚数だそうです。

 鎌倉時代初期、後鳥羽上皇が菊の紋を愛用されたことにより天皇・皇室の紋となったといわれています。この頃から菊が日本を象徴する花となりました。
 菊は中国で改良されたものが遣唐使などによって奈良時代中期にもたらされたといわれ、奈良時代の万葉集には現れておらず、平安時代の古今集あたりから盛んに詠まれるようになりました。





 なんときれいな・・

後鳥羽天皇のエピソード
 源氏に追われた平氏は1183年7月に源義仲の入京に伴い安徳天皇と剣璽を奉じて都落ちし西国に逃れました。これに従わず京に残った後白河法皇や源氏方の公卿は1183年8月に後鳥羽天皇を即位させました。(このため、平家が壇ノ浦で滅亡した1185年までの2年間は天皇の在位期間が重複しています。)
 壇ノ浦の戦いで平家が滅亡した時、8歳(満でいえば6歳です。2歳で即位)の安徳天皇は二位の尼の「波の下にも都がございます」という言葉とともに入水しましたが、三種の神器のうち宝剣だけは海中に沈んだまま行方不明となりました。(御璽は見つかった。その後何回か捜索されたが宝剣は見つからなかった。)後鳥羽天皇は三種の神器が揃わない天皇として一生コンプレックスを抱いていたそうです。
 1183年に三種の神器が宮中から持ち出される前の月にたまたま伊勢神宮から後白河法皇に献上された剣を宝剣とみなすことにしたといわれています。(三種の神器については異説あり)



 この棟には7本仕立ての「一文字菊」が並んでいます。
 いろんな品種の菊が並んだこのような棟が10棟くらいありました。



 中央に黄色の見事な「懸崖作り」の菊が飾られ、左右にも赤、白の懸崖があります。その前に「厚物」、最前面には小菊の鉢が飾られています。



 花びらが大きく盛り上がっています。これは「厚走り」になるのでしょうか。

「厚物」:多数の花弁が中心に向ってこんもりと盛り上がったもので、花弁に起伏がなく整然としたものがいい。
「厚走り」:厚物の下側の花弁が走るように長く垂れ下がったもの。




 この「懸崖仕立て」は2メートル以上の長さがありました。

懸崖作り:懸崖用の小菊を、前年秋にさし芽したものを、摘芯を繰り返し形を作る。かまぼこ状に隙間なく花をつけるようにするには技術が必要。





 写真を撮った後に、係りの人が入賞した菊花に○○大臣賞などの表示を立てていました。(今回の写真には入っていません。)



 菊の美しさが格好の目の保養、心の癒しになりました。


   

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